猫に関するお寺に行ってみたい!九州・四国編

九州や四国にも猫に関するお寺がいくつかあります。
猫にまつわる伝説が残っていますが、飼い主が殺された事による復讐が目立つようです。
死んでも飼い主に忠誠を尽くす猫たちにはどんな想いがあったのか、出来るなら実際のお寺で考えてみたい!

■生善院(しょうぜんいん)


住所:熊本県球磨郡水上村大字岩野3542
行き方:くま川鉄道湯前線「湯前駅」 → 徒歩約14分

どんなお寺?:
1625年に建立された観音堂が国の重要文化財に指定されるほど、古い歴史を持つお寺です。
別名「猫寺」と呼ばれ、狛猫が鎮座しています。
お寺に伝わる人間と猫の伝説はドロドロして悲しいけれど、主人想いな猫の気持ちが伝わります。
 

猫の伝説・・・
昔、この地に普門寺の住持「盛誉法印」がいました。ところが相良氏によって無実の罪で殺されてしまい、お寺も焼かれてしまいます。
盛誉の母である「玖月善女」は息子を殺した相良氏を心から憎み、一房神社で断食しながら21日間も呪い続けました。その行いは強い恨みを巣窟させる物で、自分の指を嚙み切って血を神像に塗ったり、可愛がっていた黒猫「玉垂」に自分の生き血をすすらせたりと、全霊をかけて呪いながら、最後は愛猫と共に淵に身投げをして命を絶ったのです。
そしてその復讐どおり、相良氏の元へ化け猫が現れて盛誉の暗殺に関わった者たちが苦しめられるようになりました。
相良藩は母の霊と猫の霊を鎮める為に、焼き払った普門寺の跡地に生善院を建てて祀ったそうです。

ここに注目!:
猫感があまりないお寺ですが、重要文化財に指定された「生善院観音堂」の雰囲気は思わず息を飲む。目立つほど大きくて立派な屋根が特徴的で、そこからでも歴史を感じます。

■秀林寺(しゅうりんじ) 「猫塚」


住所:佐賀県杵島郡白石町福田1644 秀林寺
行き方:JR長崎本線肥前「白石駅」 → 徒歩約5分

どんなお寺?:
「鍋島の化け猫騒動」の話が伝わる秀林寺には、「猫大明神」の祠と「猫塚」が有名。猫塚には尻尾が七つに分かれた猫がデザインされおり、怪しい雰囲気が漂っています。

鍋島の化け猫騒動・・・
約400年前の昔、佐賀藩主の『鍋島勝茂』と『又一郎』と呼ばれる男が2人で碁をうっていました。その途中、又一郎の何気ない一言が勝茂の気に触れ、又一郎を斬り殺してしまいました。
殺された又一郎の首は、飼い猫「コマ」が銜えて又一郎の母親へ届けました。
深い悲しみに暮れた母親は、コマに「息子の仇をとって欲しい」と頼み自害してしまいます。
頼まれたコマは、母親の流した血を舐めてどこかへ消えていきました。
 
その事件が過ぎたころ、又一郎を斬り殺した勝茂はうなされ、苦しむ夜が続いていました。
勝茂だけでなく、鍋島家の子供の突然死、家臣たちは化け物に喉を噛み切られるなど、奇妙で不幸な出来事が続いていたのです。これらは、コマが化け猫となって祟っていたのでした。
 

ある夜、勝茂の護衛の為に見張りをしていた千布本右衛門は、勝茂の側室である「お豊の方」の様子がおかしい事に気が付きました。そこでコッソリと庭でお豊の方の様子を見張っていると、廊下を歩くお豊の方の着物の裾から、いくつにも分かれた尻尾がうねうね動いているのが見えたのです。それは化け猫のコマがお豊の方を食い殺し、成り代わった姿でした。成り代わる事で常に近くで苦しめていたのです。
 

お豊の方がそのまま勝茂の部屋に入っていくと、部屋の中から勝茂のうめき声と女の笑い声が聞こえ、障子には大きな猫の影がうつりました。
そこで化け猫を倒すチャンスとばかり、本右衛門は影に向かって障子越しに槍を突き刺しました。その瞬間、真っ赤な血が障子に飛び散り、部屋の中には槍に刺された大きな猫が倒れていました。
 
これで化け猫騒動が終わったと思われましたが、最後にとどめを刺した千布本右衛門の家系は男子が育たず、これも化け猫の祟りだと感じた千布家が「猫塚」を建て、化け猫を「猫大明神」として祀り、鎮めたとされるお話です。
 
ここに注目!:
「化け猫騒動」は歌舞伎などで披露されるフィクションホラー話として存在していたそうですが、何故「猫塚」が創建されたのかは謎となっています。本当に化け猫がいたのか、怪談話にちなんで猫塚を作ったのか・・・。謎は謎のまま。

■栖岸寺(せいがんじ)  猫島「猫薬師」


<栖岸寺>
住所:鳥取県鳥取市湖山町北1丁目387
行き方:鳥取駅 山陰本線「快速とっとりライナー米子行」→ 鳥取大学前駅 → 徒歩約9分

<猫島「猫薬師」>
住所:鳥取県鳥取市金沢 湖山池公園  鳥取県鳥取市湖山池に浮かぶ猫島
行き方: JR湖山駅 → 湖山駅前バス停「日ノ丸湖岸線 湖山経由「吉岡」行」 → 「つづらを」バス停で下車

どんなお寺?:
栖岸寺には猫のミイラ「猫薬師」が祀られており、湖山小学校3年生しか(地域学習の一環)お目にかかれない「秘仏」として扱われています。その秘仏が2016年の「双盤念仏」に合わせて檀家達に初公開された事で話題になりました。今後は法要に合わせて3年に1度公開されるそうです。
       

猫島:
湖に佇む一枚岩の小さな島。湖山長者にかかわる猫の死体が干乾びて猫島になったと言われています。
上陸は出来ませんが、近くの公園から眺める事が出来るので足を運んでみて下さい。
そしてこの島には2つの伝説が伝えられています。

伝説①「湖山長者」:
昔、湖山の里にかなり大金持ちの長者が住んでいました。
その長者の屋敷では毎年田植えが行われ、村人総出で行って1日で終了させるのが決まりでした。
ある年の田植えの最中、子供を逆さに背負ったサルが出没。村人が珍しいと手を止めてサルを眺めていたので、お日様が傾いた頃になっても田植えが終わりそうにありません。その状況に焦った長者は、宝の中でも一番大切にしている「金の扇」を持ち出し、傾いた太陽に向かって扇を仰ぎながら「少しの間、元に戻ってくれ」と呼びかけました。すると不思議な事に、傾いていた太陽がまた昇っていくのです!扇で日中を延長した事により、村人たちは田植えを終わらせる事が出来ました。
 
ところが翌日、外に出た長者が見たのは大きな池に変わった田んぼの姿でした。
村人たちは、長者がお日様を私欲で動かした罰が当たったからだと噂し、それ以降、池は「湖山池」と呼ばれるようになりました。
 
この湖山長者で飼われていた猫が、田んぼが池に変わった時に溺れて死んでしまい、そのまま干乾びて島となったのが「猫島」だと言われています。(湖山の猫薬師)

伝説②「猫島異聞」:
伏野長者の家に1匹の猫が飼われていました。飼っていたのは長者に仕える女中で、とてもとても可愛がっていました。
ところが、長者の奥様は猫に乱暴をふるう程のかなりの猫嫌い!その為、女中に「猫を早く追い出すように」と命令を下したのです。女中はひどく悲しみましたが、猫は自ら姿を消してしまいました。
 
猫がいなくなった女中は毎日悲しんでいると、出会った旅のお坊さんから「猫は因幡山に居る」という情報を聞き、さっそく探しに出掛けました。しかし中々見つける事が出来ず、そうこうしているうちに日が暮れてしまったのです。困った女中は宿を探していると、一軒の立派なお屋敷が見えてきました。女中はお屋敷を訪ね「猫探しで路頭に迷い、今夜一泊させて欲しい」と頼みこんだ所、お屋敷にいたお婆さんは快く承諾し、部屋へ案内してくれました。
その晩、女中がふと目を覚ますと隣の部屋から話し声が聞こえてきました。
 
「あの女は猫を可愛がっていたから、噛みついてはいけない」それを聞いた女中は怖くなり逃げようとした所へ、部屋に猫娘が入ってきました。よく見ると、女中が可愛がっていた猫です。猫娘は女中に探しに来てくれたお礼を伝え、長者の家には戻るつもりがない事を伝えました。そして、この猫屋敷から無事に帰る為のお守り(白い紙袋)を渡したのです。外に出た女中は数多くの猫たちに囲まれましたが、白い紙袋を見せるとサーっと道が開け、無事に家に帰り着く事が出来ました。
 
家に帰った女中は白い紙袋を開けて中を確認してみると、中には犬の絵が書かれ、さらに本物の小判10両を銜えていたのです。これを知った長者の奥様は、「私はもっと貰えるはずだ」と息巻いて因幡山の猫屋敷へ向かいました。
ところがその夜、奥様が明かりがついている障子を開けてみると、そこには奥様を狙ってジロリと睨んだ大きな猫がいたのです。あまりの恐ろしさに腰を抜かした奥様の元へ、追い出した猫がやって来て「よくも虐めてくれたな」と喉元に噛みつき、奥様は血まみれになって死んでしまったそうです。

【猫に関するお寺に行ってみたい!九州・四国編まとめ】


最後に紹介した「猫島異聞」は、昔話で聞く「舌きりすずめ」を連想させる伝説でしたね。悪い事をした人間には罰があたる、それを教えてくれるような伝説です。人間の私利私欲で振り回される猫ちゃん達も可哀想ですが・・・。
お寺は特に伝説が残っていて、色々な特色のお話があって面白いですね。それを知って訪問すると、お寺の見かたが違ってきます!